この様に、国際基準の有機栽培( 無農薬栽培 )農産物は、改正 JAS 法( 2004 年 )の裏付けがある、有機 JAS になります。相互認証条約を結んだ国々とは、日本国内と同様に、その国々で認証された有機農産物として取り扱いを受けることができます。
これに対して、減農薬農産物は、各都道府県のスキームはまちまちですが、
典型的なスキームとしては、
・特栽ガイドラインを基準に、個々の農家が自分で認証をおこなう特別栽培農産物と、
・特栽ガイドラインを指針に、各都道府県が別途、条例( XX県食の安全安心条例、など )を裏付けに、XX県認証食品を個別に設定し、都道府県が第三者認証する、
という制度を併存させています。
( 引用:「 類似制度一覧表※わかりにくい類似制度を一覧表にしました 」2015 年 6 月 島根県農畜産課 )
島根県で、県内産農産物の認証制度についてまとめていました。
この題名通りで、島根県内で生産された農産物のうち、
・特別栽培農産物は、
農水省の特栽ガイドラインに対応して、県内の使用状況に応じた、肥料・農薬の慣行使用レベルを作成し、
農家自身の自己評価で、
農薬・肥料について、慣行レベル使用回数の 5 割減かどうかを判断した、
減化学農薬・化学肥料農産物、
・エコロジー農産物は、
県の条例に基づき、県内の使用状況に応じた、肥料・農薬の慣行使用レベルを作成し、
第三者である県が認証した、
減化学農薬・化学肥料農産物、
と、様々な減農薬農産物が林立するようになってしまっています。農家にとってさえも、わかりにくい。
もちろんスーパーなどでは、島根県の農産物だけを扱うわけではありません。例えば野菜なら、野菜の産地リレーにより他府県の農産物も入ってきますが、それぞれ独自に呼称・規格を設定しているので、普通は内容の違いを覚えきれるものではないし、結局のところ、違いがわからずに購入している消費者も多いものと思います。(
各地方自治体の策定した慣行レベルが大きく異なる野菜もある。)
こういう状況の中で、自己申告である、特別栽培農産物の位置づけですが、
・化学農薬5割減というのは、散布回数のことで、より強力または残効性がより高い農薬を用いることで、回数を減らすこともできる、
・残留農薬が 5 割減少していることを保証するものではないので、厳密にいえば、行政が言うところの「 優良誤認 」である、
・地方自治体は、基準となる慣行レベルの策定又は確認しか求められていない( 第三者認証することを求められていない )、
など、突っ込みどころは満載で、混乱だけを招いています。通販業者にも、いろいろな対応があり混乱します。
特別栽培農産物表示ガイドラインが、地方自治体での立法を促し、その際の指針に留まるのであれば、良いが、多くの地方自治体は、条例に表示規制を含めずに立法しており、ガイドラインの表示規制のみが直接、農家への表示規制として独り歩きしている。
こんなつまらない、特定栽培農産物表示ガイドラインなる、農水省局長通知は、即時撤回せよ!
農薬業者団体は、新規農薬の開発目標の一つに、より手軽に( 回数を減らして、など )ということがあるので、新規農薬への切り替え促進( 例えば、ネオニコチノイド系統殺虫剤など )に利用できるためなのか、特別栽培農産物という表示に好意的です。
( 引用:「 教えて!農薬 Q&A 」農薬工業会サイト )
この前のめりな説明には、印象深いところがあります。
法的根拠がある上に国際基準でもある「 有機 JAS 」を農薬工業会が知らないわけもなく、都合が悪いのか?何故か全く触れない( 隠す )一方、特別栽培農産物表示ガイドラインは農薬会社によほど都合が良いのでしょう。法的根拠がないにもかかわらず、宣伝していますね。
この様に、「 特別栽培農産物 」という名称は、その認証が自己申告であるし、その内容も散布回数を問題にしているために実質的に農薬が減少しているのかどうかわからず、この名称が生まれた目的も「 無農薬栽培 」、「 減農薬栽培 」という表現を毀損するためだけではないか、農薬メーカーに忖度しただけではないか、と思わされるところがある、奇妙な名称です。
特別栽培農産物を作っている農家の中には、無農薬と言う表現は残留農薬が 0 ではないから優良誤認だ、と非難する農家も居て、工作員なのでしょうが、頭が残念です。特別栽培農産物にしても、残留農薬が 5 割減っていることを保証するものではありません。
行政は、農産物の表示を残留農薬ベースの規制に改めるというのなら、無農薬だけ優良誤認などと言いがかりをつけずに、すべての表現をデフォルトで残留農薬ベースに指導したらどうですか?でないと、消費者はかえって混乱するばかりです。
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